テーブルマウンテンは、信じられないくらいの悪天候だった。遠くの景色は見えず、岩の先は白い霧に消えている。ここまで来たのに、と思う。「これも旅だ」と、自分に言い聞かせていた。

この日は、ケープタウンから半島を巡る少人数ツアーに参加した。山から海沿いへ。ミューゼンバーグ、サイモンズタウン、ボルダーズ・ビーチを経て、喜望峰とケープポイントへ向かう。最初の山では視界がきかなかったけれど、海沿いには、曇り空だからこそ好きになった景色もあった。
ミューゼンバーグ。曇り空の下のビーチハウス

赤、青、黄色の小屋が、白い砂浜に並んでいた。空は曇り、海は荒い。小屋の明るい色のすぐ隣に、灰色の空と白く崩れる波がある。
晴れた日なら、もっと明るい景色になるのだろう。それでも、この少し寂しげな雰囲気がかなり良かった。色とりどりの小屋が並んでいるのに、写真全体はどこか静かに見える。山では困った天気だったが、ここでは曇り空も含めて、この浜辺が好きだと思った。
サイモンズタウンから、ペンギンのいる浜へ
海沿いのサイモンズタウンではHarbourview Restaurantを利用した。そこから訪れたボルダーズ・ビーチには、アフリカペンギンのコロニーがある。

大きな岩の間に、白い砂浜がある。その上にペンギンがいる。アフリカ大陸でペンギンを見るというのが、やはり不思議だった。海と砂浜を広く写しても、小さな白黒の姿が目に入ってくる。

可愛いペンギンを見に行く場所、というだけではなかった。アフリカペンギンは絶滅の危機にある鳥で、ここは保護されているコロニーだ。[保護区の案内:SANParks]
観光で訪れる人間も、その周囲で営まれる暮らしや漁業も、ペンギンとは無関係ではない。捕食者もいる。ここで感じたのは、そうしたものの間で成り立つ共存のぎりぎりのところだった。目の前の可愛らしさと、この先もここにいられるのかということを、一緒に考えた。
喜望峰。海の先へ進んだ人たちのこと

喜望峰まで来ると、地名の書かれた看板がある。背後には岩場が広がり、その向こうは海だ。ここで見た景色には、大航海時代のことが重なった。
航海者たちは、インド洋への道を探し続けた。風と海流を読み、嵐に流されながら、それでも先へ進もうとしていた。いまは車で来られる場所に立って、その時代の海を想像する。岬の名前を知っていることと、実際に海を前にすることは、ずいぶん違う。
ケープポイント。灯台の下に広がる海

ケープポイントには灯台が立っている。岬を見下ろすと、岩の斜面が海へ落ち込み、その先まで青い水面が続いていた。写真の中でも、陸地の端の形がはっきり分かる。

テーブルマウンテンでは霧の先が何も見えなかった。ミューゼンバーグでは、曇り空とカラフルな小屋がよく似合っていた。そして岬では、遠くまで海がある。同じ一日の写真なのに、ずいぶん違う景色が並んでいる。
喜望峰とケープポイントで心に残ったのは、絶景の先に航海の歴史が見えたことだった。あの海へ船を出すのは、どんな気持ちだったのだろう。灯台と、その下に広がる青い海を写した写真が残った。
あわせて読みたい旅の記録
ボ・カープやディストリクト・シックス博物館、宿泊費と市内移動はケープタウン市内編にまとめた。車で進む旅の続きとして、ナミビア旅行記では、ウィントフックから砂漠へ向かった道を紹介している。
この日利用した飲食店とお会計
| 店名 | お店の特徴 | お会計額 |
|---|---|---|
| Harbourview Restaurant | サイモンズタウンの港を望むレストラン。魚介料理を中心にステーキなども揃い、屋外席で海辺の景色と食事を楽しめる。半島を巡る途中のランチにも。 | R248 約2,340円 |
円換算の参考:2026年5月1日、1 ZAR=9.4252円。日本円は10円単位の概算。為替レート


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